「まあ…本音を言うと、確かに昔はよく思ってなかった。でも、それって森川のことを何もわかってなくて、私の偏見が100%だったから…」

そう言うのがやっとだった。

冷たくするのもおかしな話だが、あまりにコロリと態度を変えることなんて、勝手すぎて出来やしない。

「よかった。夏祭り、楽しみにしてますね!」

「私も…」

辛うじて、素直に答えることができた。

夏祭りか…。

昔の浴衣を当てて鏡を見たが、髪が真っ赤のせいか、イマイチだ。

こんなに暑いのだから、少しでも薄着のほうがいいだろう。


そして、夏祭り当日。

待ち合わせ場所の公園に向かうと、もう既に森川は来ていた。

遅刻したかと思い、時計を見たが、まだ10分前。

森川は大きく手を振っている。