「嬉しかった?」

「先輩とは、読書会で月に一度会えるだけでよかったはずなんですけど…。欲が出たのか、それだけじゃ足りなくて。だから、こうして電話したり、読書会以外でも会えることが嬉しいんです」

かなりの直球に、返す言葉がすぐに見つからない。

何だか、まるで私に好意があるように聞こえるが、そんなバカなことがあるだろうか。

あれほど冷たくした私に好意があるなんて、ちょっと考えにくい。

しかし、森川が、私に思わせぶりな言動をするだけして、後で突き落とすような真似をするような悪質なタイプだとも思えず。

「先輩、無理してませんか?」

「え?」

「だって、先輩って僕のこと嫌ってましたよね。そんな相手に誘われても迷惑なんじゃないかって」

核心を突かれ、少し動揺したが、

「私、森川のこと嫌いじゃないよ」

「本当ですか?」