うちの店で働く石工職人の大先輩たちは、年配の人ばかりなので、メールで業務連絡することもなく、両親も機械音痴なので、固定電話とFAXがあれば事足りるのだ。

世間はどうかわからないが、少なくとも私は、ケータイやネットの利用をやめたことで、心が軽くなった。

森川から送られてきたFAXは、夏祭りのチラシの片隅に、

「よかったら、一緒に行きませんか?」

そう書かれてあった。

一緒に夏祭りなんて、まるで中学生の初デートみたいで微笑ましい。

とはいえ、中学時代の私たちが一緒に夏祭りに行くことなど、まず有り得なかった。

私は、落書きのようなイラストと共に、

「OK」

と書いて返信した。

その直後、電話が鳴る。

「あ、先輩ですか?森川です。お疲れ様です!」

ごきげんな声が聞こえてきて、思わずほっこりする。