仕事が終わってシャワーを浴び、部屋に戻ると、森川からFAXが届いていた。

互いの過去を打ち明け合い、抱きしめられたあの夜、連絡先交換をした私たち。

「先輩の連絡先って、これですか?」

つぶらな瞳をパチクリさせながら、渡したメモを見ていた森川。

渡したのが、固定電話の番号だったせいだろう。

「そう。自分の部屋に電話を引いてあるの。FAXも使えるよ」

「最近では、なかなか珍しいですよね。でも、凄く嬉しいです!」

そう言って、満面の笑みを見せてくれた。

かつて、知り合った男に連絡先を聞かれ、固定電話の番号を伝えたら、

「連絡先を教えたくないなら、ハッキリそう言えばいいのに」

電話番号を教えたにも関わらず、そう言われたことがある。

私は、ケータイやネットが好きではない。