「だから、何?」

「先輩のこと、抱きしめてもいいですか?」

「はぁ!?」

「いや…変な意味じゃないって言ったじゃないですか」

過剰反応したりして、大人げなかった。

「何だか今、先輩が、凄くか弱い少女みたいに見えるから。大丈夫だよ、ってハグしたいんです。ダメですか…?」

過去に、何人かの男とハグ以上のことをしておきながら、こんな風に戸惑ってしまうのは、私たちが中学時代の先輩後輩だからだろうか。

「ダメ…じゃない」

やっとのことでそう言い、ゆっくりと森川のほうへ凭れ掛かる。

森川は、慣れない手つきで私のことを抱きしめた。

「こんな風に誰かにハグされるのって、一体いつ以来…」

私がそこまで言いかけると、

「あっ!流れ星!」

かなり唐突に森川が叫ぶ。

「ん…何処?」

「え!?いや…流れ星なんですから、一瞬ですよ!」

何故か妙に慌てている。