今更遅いが、思わずそんな言葉がこぼれ落ちた。

「いいんです。もし先輩まで周りと同じ態度だったら、ずっと変われなかったでしょうから。中3になって進路を決める時、ちゃんと自分に正直になることにしました。またオタクと呼ばれてもいいから、高専に進学しようって。それで、コンピューター部にも入ったんですよ」

「そういうことだったんだ…」

「高専は圧倒的に男子が多い上に、5年間同じクラスだから、不安もありました。でも、大正解でしたよ!自分と似たようなタイプが多いから、もう自分を偽ることなく、趣味を共有出来る仲間たちも出来ました。色気はなくても、毎日が楽しくて、やっと青春を謳歌できるようになったんです」

森川は笑って言うが、私は、勝手に彼のことを誤解し、勝手に嫌悪していた自分を恥じた。

今の森川が眩しく見える理由もわかった気がする。

私よりも森川は大人なのだ。

それに比べて私は…。