「まだ先輩と知り合う前…小学校高学年ぐらいから、クラスメイトからオタク呼ばわりされ始めたんです。それが嫌で、誰よりも流行に敏感になったら、女子には受け入れられるようになって。今思えば、それが間違ってたんですよね」

意外な過去だと思い、黙って続きを聞く。

「子供なりの処世術だったんです。本当は流行なんてどうでもよかったし、女子ウケしたところで何になるのかって思ってました。それなのに、そんな自分をやめられなかったんです。完全に孤立するよりはマシな気がして」

いつもヘラヘラして、周りに媚びてばかりいた森川が、そんなことを思っていたとは、全く知らなかった。

「しかも、かなり恥ずかしい勘違いをしてました。僕が同性から嫌われるのは、異性ウケがいいからだろうって。だけど、先輩だけは僕のことを露骨に嫌うから、その理由を考えることが多かったんです」

「ごめん…私、何も知らなくて…」