会話が途切れると何だか気まずく、私が話題を探していると、

「中学時代…成長した自分のことを先輩に見せたいって思ってましたけど、出来ませんでした」

「へ?」

あまりに突然、話題が変わる。

「先輩って、割と小柄だったのに、ドラム演奏の迫力が凄くて尊敬してたんです。だから、僕も負けていられないなって。よく、いろんなOGとかOBが部室に遊びに来たのに、先輩は一度も来てくれませんでしたよね」

「上京したんだから、無理に決まってるじゃない」

「あの頃は、先輩の進路を知らなかったし…。僕ね、ちょっと無責任かもしれないですけど、本当に好きなことがしたくなって、3年になってから兼部するようになったんです」

「え?あの学校って、基本的に兼部はできなかったよね?よほどの理由がない限り、転部も禁止だったし」