「そうそう!徒歩5分の距離を車でも移動して、ジム通いにお金かけるあたり、日本人って合理的じゃないと思ってた。パリジェンヌの美の秘訣は、とにかく歩くことらしいわよ」

そう言って笑い合ったが、不意に森川の腹筋の感触を思い出し、つい目を逸らしてしまった。

「あー…森川こそ、読書しないのに読書会に参加してるのはどうしてよ?」

「えっ!?あー…そうそう!新たな趣味に読書を加えたかったんですよ!」

「ふーん。最近、何か読んだの?」

「まぁ…読んだことは読んだんですけど、仕事関係の専門書ぐらいなんですよね」

仕事関係の専門書ということは、理系がダメな私には、ちんぷんかんぷんの内容だろう。

いくら同じ読書会に参加しているからといって、あまりにも方向性が違えば、本のことを話題にはできない。