一年で最も丁度良く感じる、ある5月の夕刻。

老舗デパート6階にある市民センターの一室には、今日もそこそこ人が集まっている。

周りに挨拶しながら、席決めのくじを引く。

今日は月に一度の読書会。

去年、初参加してから、皆勤賞状態の私。

新たな友達が出来たらいいな…と思って参加するようになったが、かなりの年上ばかりで、常連メンバーと個人的な付き合いまではしていないが、居心地がいい。

「あ、リカさん。今日、初参加の人が来るんだけど、珍しくリカさんと同世代の人なの。フォローをお願いしてもいいかしら?」

読書会を運営する職員に言われ、私は快諾した。

初めての人が参加しやすいように、仲の良いメンバーだけがかたまらない配慮や、初参加者のフォロー役が決められていたりする。

「多分、あの彼ね。何度も部屋の前を行ったり来たりしてるし」

職員に言われ、私はその男性のところへ向かう。