お兄ちゃんが出て行ってからどのくらい経ったのだろう?

しばらくボーッとしてた私

玄関のドアが開く音が聞こえ我に返る…。

「梨音~!いる~?」

彩美だ。

足音が近づいてくる。

『彩美おかえり。』

「うん。ただいま!」

幸せそうな笑顔を浮かべそう言う彩美は

私にとってはうらやましい存在で

別世界な存在でもあり

遠い存在でもある…。

だって彩美は普通の恋愛してる…。

だけど…私は?

叶うはずもなく

叶える術も見つからない

普通とは違う

普通とはかなりかけ離れた片想いをしてる…。

「梨音…いいんだよね?」

気まずそうな顔をして彩美が聞いてくる…。

私は黙って頷く。

「そっか…梨音がそれでいいなら…後悔しないなら…私は何も言わない…」

『ありがとう彩美…』

彩美は知ってる…。

私のお兄ちゃんに抱く想いを…。

最初はびっくりしてたものの

私のこんな異常な想いを知っても離れずに

そばにいてくれる…。

唯一私の想いを否定せず

認めてくれる大事な大事な親友…。