そうして、剣術大会当日。
「妃殿下、お急ぎくださいっ」
今回は嫌がらせではなく、のろまな気質のせいで、ギリギリの時間に支度が終わったのだった。
「……わかっています」
にもかかわらず、サイフォスの事を考えると胸が痛んで……
なかなか出向く気になれずにいた。
ーーこの姿を見たら、どれほどショックを受けるだろう。
いっそ、怒ってくれたらいいのにっ……
事の経緯に立ち会ってきた宮廷侍女たちですら。
立場も忘れて、あからさまに呆れた素振りを見せていた。
リモネは、そんなヴィオラを気持ちを察して……
「王太子妃殿下、とてもお綺麗です」
励ますように、そしてその選択を肯定するように、そう優しく微笑むと。
ヴィオラは意を決して、悪妃の仮面を被り直した。
部屋を出ると。
外には、サイフォスが迎えに来てくれていて……
その不意打ちに、思わず悪妃の仮面がはずれそうになる。
そしてヴィオラの姿を目にしたサイフォスも、思わずショックが滲み出そうになる。
ついさきほどまでは……
自分が選んだものに身を包んでる姿を想像して、秘かに胸を躍らせていたというのに。
何一つ選ばれてないどころか、何の役にも立てなかった事まで突き付けられていたからだ。
ーーやっぱり俺のセンスは駄目だったのか!?
それとも……
そんなに俺の事が気に入らないのか?
今までの嫌がらせを考えると、後者の可能性も濃厚だった。
「妃殿下、お急ぎくださいっ」
今回は嫌がらせではなく、のろまな気質のせいで、ギリギリの時間に支度が終わったのだった。
「……わかっています」
にもかかわらず、サイフォスの事を考えると胸が痛んで……
なかなか出向く気になれずにいた。
ーーこの姿を見たら、どれほどショックを受けるだろう。
いっそ、怒ってくれたらいいのにっ……
事の経緯に立ち会ってきた宮廷侍女たちですら。
立場も忘れて、あからさまに呆れた素振りを見せていた。
リモネは、そんなヴィオラを気持ちを察して……
「王太子妃殿下、とてもお綺麗です」
励ますように、そしてその選択を肯定するように、そう優しく微笑むと。
ヴィオラは意を決して、悪妃の仮面を被り直した。
部屋を出ると。
外には、サイフォスが迎えに来てくれていて……
その不意打ちに、思わず悪妃の仮面がはずれそうになる。
そしてヴィオラの姿を目にしたサイフォスも、思わずショックが滲み出そうになる。
ついさきほどまでは……
自分が選んだものに身を包んでる姿を想像して、秘かに胸を躍らせていたというのに。
何一つ選ばれてないどころか、何の役にも立てなかった事まで突き付けられていたからだ。
ーーやっぱり俺のセンスは駄目だったのか!?
それとも……
そんなに俺の事が気に入らないのか?
今までの嫌がらせを考えると、後者の可能性も濃厚だった。