翌日。
ラピズの事が心配で、塞ぎ込んでいると……

「妃殿下、王太子殿下がお見えです」

ーー勝手に宮殿を抜け出した事と、食事をすっぽかした事に、文句を言いに来たのね?

「お通しして」

 昨夜は周りが心配していたからか、「無事でよかった」と告げられただけだったが……
ヴィオラは謝るどころか、あなたのせいでラピズが!という思いで、キッと睨んだのだった。

 ところが、部屋に入って来たサイフォスは……
100本以上はありそうな、ブルーローズの花束を抱えていた。

「……何の真似ですか?」

「青が好きだと聞いた。
せめてもの謝罪だ、まずはこれを受け取ってくれ」

ーー謝罪っ?
ありえない返答に、思わずヴィオラは面食らう。

「……なぜ殿下が?
私への当て付けで、こうしろとお手本でも見せているつもりですか?」

「すまなかった!
俺が無理矢理誘ったせいで、あんな真似をさせてしまって」
ヴィオラの言葉を打ち消すようにして、謝罪の理由が告げられた。

 サイフォスは昨日の一件でヴィオラの悪評が広まった事を、心から申し訳なく思っていたのだ。

 ヴィオラの失踪を知った時も、心から心配して……
王宮騎士を動員し、昼食も取らずに捜索したのだった。
ヴィオラもその事は、リモネから聞いており。

ーーこの人はどこまでっ……