「俺がパティシエを目指してるのは、祥子のためでもあるから!」
「俺は、もっともっと祥子のためにケーキを作り続けるから!」
「だから、ずーーっと俺のケーキ食べてくれよ!」

 立て続けにそう言われて、圭ちゃんの真剣な気持ちが伝わってくる。
 
「……いいの?」
「いいんだよ!」
「ありがとう、圭ちゃん!」

 そっか、私、これからも圭ちゃんのケーキを食べていいんだ。
 安心して、表情が緩む。
 すると、圭ちゃんもほっとしたような顔になった。
 その時……。
 
「け〜〜い〜〜き〜〜〜〜」

 後ろから、またお父さんの不機嫌そうな声が聞こえてきた。
 なんだか、圧を感じる。
 
「今のはなんだぁ? プロポーズか?」
「お父さん!」
「師匠!」

 振り返ると、お父さんが腰に手を当てて仁王立ちしていた。
 
「そんなセリフは、一人前になってから言いやがれ!! ほれっ、今からパイピングの練習!」
「お、押忍っ!」

 お父さんと圭ちゃんは、厨房の方へ行ってしまい、私はポカンとしていた。
 
 ……え? お父さん、今、なんて言った……?