「うぉっ!?」
「圭ちゃん、ケーキは!?」
「だぁかぁらぁ……はぁ〜……」

 私のパジャマ姿を見て、圭ちゃんは大きくため息をつく。
 けれど、すぐに気を取り直して「ま、いっか」と呟いた。
 うう、だってケーキと聞いて見過ごすわけには……。
 圭ちゃんは、ケーキの乗った皿を私の前に差し出してきた。
 
「これ、即席で悪いけど」

 さすがにスポンジを焼く時間はなかったのか、パンケーキにフルーツや生クリーム、アイスなどをトッピングしたものだった。
 色合いもかわいくて、即席だなんて思えないくらいだ。
 
「わぁ……。ありがとう、圭ちゃん」
「いいってことよ」

 私がお礼を言うと、圭ちゃんも笑顔を返してくれた。
 
「……じゃ、俺、帰るわ」
「うん、おやすみ」

 圭ちゃんが階段を下りていくと、お母さんが「あら、帰るの?」と声をかけていた。

「夜分遅くにすみませんでした」

 そう言って、圭ちゃんは帰って行った。