けれど──けれど、シャルロットが初めて主催したお茶会に招かれ、歓喜して向かったお茶会で見たシャルロットには、あの頃の輝きの半分もなかった。

「シャルロット様って、意外と大したことないんですよね」

 つい、口をついてそう出たのは、マルティナのずっと治らない悪癖だ。
 だが、怒るかと思ったシャルロットは、少し驚いたようにこちらを見た後、うつむいて「そうなの」と言っただけだった。
 マルティナにお叱りが来なかったからか、調子に乗ったのは周りの令嬢で、口々に、ぼかした嫌味をささやいた──それにも、シャルロットは反論しなかった。

「失望したわ」

 本気でそう思った。それが口に出た。シャルロットは、二度とこちらを見なかった。
 シャルロットの侍女から父に連絡が言ったのだろうか、夜、父にこってり絞られた。
 何度も何度もシャルロットにひどいことを言った。

 そのたびに、マルティナの妖精は傷ついていく。すうっとするような感覚と、重苦しい罪悪感がマルティナの心を埋め尽くして、10歳のころには家に帰るたび吐いていた。
 そんなにやってもシャルロットは怒ることなく、かわりにマルティナをその目にうつすこともかった。