ああ、そうだ。──そうだった。
 シャロは、アルブレヒトを守りたかったのだ。
 つたない犬の言葉では、たった一つ、そのたった一つの約束を、形作ることができなかった。

「わたし、あなたを守りたい。アルブレヒトさま」

 少し、沈黙ののち。口にしたのは、もう約束ではなかった。
 アルブレヒトが耳にしていなくてもかわまない。
 だってこれは願いではない──約束でも、希望でもなかった。これは、シャロが遺した、シャルロットの、もっとも大切な──自分自身への誓いだったのだから。

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