──そのとき、シャルロットの体をなにかが覆い隠した。
黒い礼服に金の刺繍──アルブレヒトだ。アルブレヒトは、少しだけ目を伏せ、小さく言った。
「ごめんね、シャルロット。僕は……」
君だけが無事ならと思ってしまった。僕の方が子供だった。
……最後は、ほとんど吐息に近かった。
そうして視線を上げ、周囲を見渡して朗々と。アルブレヒトは、言葉を発した。
「私のことを、シャルロットがかばったのだ。次期王たるもの妻の友人間の喧嘩に口を出すほど狭量ではいけないと。そうだろう?」
マルティナが、アルブレヒトの視線だけで動いた近衛に連れていかれる。だが、貴婦人にするような扱いに、周囲は当惑した。
驚きのまま、マルティナに視線を向ける。だが、アルブレヒトの視線がそれを許しはしなかった。
「なあ?」