ヒソヒソとした噂も、今は聞こえない。
 そして、明日から、確実に少なくなっていくだろう。
 ほぅと安心したアルブレヒトは、少しの間シャルロットから離れることにした。
 シャルロットが、両親に会いにいくの、と笑ったからだ。

 ある人物が、ちょうどアルブレヒトに話しかけてきたのも、理由のひとつだった。

 シャルロットは、別れる前、翳りのない、嬉しそうな笑顔でいた。だから油断していたのだ。
 パン!と、乾いた音が会場に響いたのは、アルブレヒトがシャルロットと合流しようとしたとき──シャルロットと別れてから、幾ばくもたっていないときだった。

◆◆◆