──ティーゼ侯爵令嬢がおひいさまにお茶をかけて……!わざとじゃないなんて、そんなことあるものですか!
 ──おひいさまのあんな噂、事実無根だとすぐにわかるでしょうに!ティーゼ侯爵令嬢がおひいさまにあんな態度をとるから、ほかの令嬢方も調子に乗っているのです。
 ──おひいさまが止めなければ、私が片っ端から放り出してやりましたわ!

「アルブレヒトさま、だいすきよ」

 すうっと息をするシャルロットは、少しずつ緑の目に光りを取り戻している。

 月の光がシャルロットの銀髪に反射して淡く光る。
 幼い頃より色の薄くなった黒い髪は、今は柔らかなグレー。

 昔のシャロと同じように、子犬が成犬になるように、色を淡くしていくシャルロットを、アルブレヒトはもう、二度と、不幸にしたくはなかった。