原因を作ったからと言って、アルブレヒトによって解雇されたと、その女官は言った。
 すべてシャルロットのせいだ、そう、シャルロットに恨みを吐いた女官の顔を、シャルロットは見ないようにした。

 ……きっと、幸せでなくなってしまうと思ったから。
 シャルロットは、アルブレヒトへ、その日悲しかったことを伝えるのをやめた。かわりに、王妃と歌ったことや、侍女たちと遊んだことを話した。

 幸せでないのは、いけないことなのだ。だって、アルブレヒトが悲しそうな顔をするから。
 シャルロットは、アルブレヒトにいつも笑っていて欲しいのに、どうしてもうまくいかない。
 毎晩シャルロットを抱きしめてくれるアルブレヒトは、この頃、シャルロットといても口数が少なくなっていた。

「シャルロット様?」
「──え、え。そうね。カルラ・オランジュ。そのペンダント、最近復活した技法で作られているでしょう。とても素敵」

 危うい目でシャルロットを見つめるアルブレヒトのことを思い返していたら、会話を逃すところだった。