「まあ!なんてかわいいのかしら!」

 王妃の待っていた部屋は、庭の見える窓の大きな部屋だった、と思う。
というのも、シャルロットの視界は、部屋に入って早々に防がれてしまったからだ。
 衛兵がドアを開け、一歩足を踏み入れると、まず感じたのは、シャルロットに向かって吹く風──ついで、ふわふわとしてあたたかく、柔らかなな何かがシャルロットの顔を覆いつくした。

 ぎゅうぎゅうとシャルロットに押し付けられるふわふわがシャルロットの呼吸を難しくする。鼻が完全に防がれてしまって、苦しくなってじたばたともがくも、シャルロットの小さな体躯では、引きはがすのはもちろん、空気の通り道を作ることすら不可能だった。

「王妃殿下、シャルロット様が苦しがっておられます!」

 付き添ってきた侍女のひとりが声をあげる。はっ、と息を吸い込む音が聞こえると同時に、シャロの鼻は解放された。

「ごめんなさい、シャルロット、あんまりかわいくて……わたくし……」