「みんな、いい仕事だったわ」
「これがわたしたちの生きる意味なのね……」

 侍女たちが、口々に、感極まったようにつぶやく。

「ありがとう、みんな」

 シャルロットは微笑んだ。けれど、生きる意味という、その言葉を耳にして、少しだけうつむいた。
 シャルロットは、ここのところ毎日、同じ言葉を繰り返して頭に浮かべていたから。

 ──アルブレヒトの、迷惑にならないようにしたい。
 
 それは、たった5歳の少女が考えることではなかった。けれど、言葉にしなかったから、誰もそれを指摘できなかったのだった。
 顔をあげて、シャルロットはにっこり笑った。
 幸せでいよう。シャルロットが幸せだと、アルブレヒトが、喜んでくれるから。


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