「さ、皆さん、時間が迫っていますよ、王妃様のドレスは水色です。アデーレ。この間仕上がったタンポポ色のドレスがありましたね。それを。クロエ、その髪飾りを選んだのは見事です。おひいさまの髪を仕上げなさい」
「裾に刺繍のあるドレスですね、わかりました!」
「はい、侍女長様!あとは髪飾りの位置だけです!」

 アンナの指示ををうけたクロエとアデーレが、てきぱきとほかの侍女に指示を出す。
 やがて侍女のひとりが運んできたタンポポ色のドレスを着せられ、頭には小ぶりの真珠の縫い付けられているベージュのリボンを飾ったシャルロットを見て、侍女たちはそろってため息をついた。

 シャルロットの髪色は独特だ。それを生かすようにわけて二つに結われ、ちょうど黒い髪が垂れる位置に、小さな真珠が光を添える。

 ドレスは、タンポポ色。布地はそれ一色で、ただ、袖や裾にシャルロットの目の色と同じ、エメラルドグリーンで、控えめに、しかし地味過ぎない、よく見ると精巧な刺繍が施されている。それが、シャルロットの白くしみ一つない、ふくふくと紅潮した肌を彩り、しかし、シャルロットのずば抜けた美しさを隠さず、絶妙な彩りを与えて、シャルロットをまるで妖精のように愛らしく完成させていた。

「かんっぺきよ……」