アルブレヒトに抱きしめられて、シャルロットはいつの間にか眠っていたらしい。
 シャルロットのために、ヒュントヘン家に従する貴族の家から選ばれた侍女たちが、翌朝目を覚ましたシャルロットにそう説明してくれた。


 およそ両手の指で数えきれない侍女たちが、献身的にシャルロットの世話をしてくれる。
 シャルロットに乳母はおらず、すべて母や、留学に行く前は姉が手ずから世話を焼いてくれていたから、

シャルロットは初めて会う大人の女性に、かいがいしく風呂に入れられ、髪をとかされ、ドレスを選ばれ、髪飾りを付けられる、その待遇に、まず慣れねばならなかった。

 そうして、もう一つ。アルブレヒトは、毎日寝る前に、必ずシャルロットに与えられた部屋にやってきた。

「それはいけないことではないの?」

 そう聞いたシャルロットに、シャルロットを一番かわいがってくれる年かさの侍女──アンナはこう言った。

「おひいさまは子供です。けして世間からあしざまに見られることはありませんわ。第一、婚約者ですもの!」
「ええ、ええ!こんなに愛らしいおひいさまですもの。抱きしめる栄誉をいただるなんて、王太子殿下がうらやましいですわ」

 いつもシャルロットのドレスを選んでくれるアガーテが続ける。