アルブレヒトは、考えるより先にシャルロットの体を抱き込んだ。暖かい体温に安心する。
「もっと、もっと強くぎゅってして、アルブレヒトさま……離さないで……」
「いいよ、シャロ。僕は君のお願いなら、いくらでも聞きたい」
幼い体の骨がきしむほど、シャルロットを強く抱きしめる。痛いだろうに、けれど、シャルロットはそこでようやく安心して息ができたようだった。
──君のことが大切だ。シャロ。
シャルロットは、きっと、アルブレヒトと一緒に居る限り、何度だってこうやって苦しみを味わうのだろう。
それでも、アルブレヒトはこの小さな子犬姫を手放せない。
出会ったあの日、泥だらけの子犬に感じたぬくもり。今になって、やっとその正体がわかった。
……ああ、そっか。
「シャルロット、僕は君に、恋をしている」
アルブレヒトは、もうずっと前から、彼女に、脆弱な心のすべてを明け渡していたのだ。