目の前で眉を寄せ、苦し気にうつむく父と母は、あの誕生日パーティーの日、招待されていなかったはずの王太子を招き入れたのがヴィルヘルムだと気付いているはずだ。
その結果、シャルロットが苦しんでいる。これは、ヴィルヘルムのせいだ。
それでも、ヴィルヘルムは、ぐっと奥歯を食いしばって、無理やりに笑って見せた。
「大丈夫ですよ、父上、母上。あの二人なら」
思い出すのはいつだってシャロの死んだ日だ。
もう、ヴィルヘルムは絶対にあんな後悔はしない。
そう──決めたのだ。
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