ティーゼ侯爵がアルブレヒトを祝った。それならば、それならば。我先にと手を打ち始める招待客からの、祝福の言葉がアルブレヒトとシャルロットに降り注ぐ。

 18歳のアルブレヒトと、5歳になったばかりのシャルロット。あの氷の王太子に見初められるなんて、かわいそうだ。そう透けて見える目をしたものも何人かいた。

 ヒュントヘンの家族は困惑したような顔をしている。ただ1人、ヒュントヘン公爵だけは、愛娘を生贄に差し出さねばならぬような顔を──いや、事実そうだろう──していた。

 かわいそうなシャルロットは、きょとんとなにが起こったのかわからない顔をして、アルブレヒトを見上げている。
 それが、どうしようもなく愛しくなって、アルブレヒトはシャルロットの小さな小さな身体を抱き上げた。
 閉じ込めるようにぎゅうと抱きしめた、その腕はまさしく檻だ。