シャルロットの拘束された腕を見ているのに、シャルロットに手を出せというクロヴィスが恐ろしい。やせぎすの体、つやのない金髪に、こけた頬。その中で、暗い緑の目だけが爛々と輝いている。

「ほら、ほら」

 焦れた様に、クロヴィスがシャルロットの口元にグラスを押し付ける。嫌だと、首を振って拒否するシャルロットの柔らかな頬が、乱暴につかまれた。

「好き嫌いはだめだよ、シャルロット・シャロ。僕の愛犬」
「か、ぁ」

 無理やりに流し込まれた液体から、葡萄の匂いがしてくらくらした。
 吐き出そうとするのを許されず、口を押さえつけられる。息ができないから喉を動かして、それでようやく解放されると、喉の奥がカッと熱くなるのを感じた。

「さあ、シャルロット・シャロ。お薬の時間だ。これを飲むんだよ」

 差し出された粉末に、本能的な危機を感じて、シャルロットは唯一動かせる足をばたつかせた。靴の角がクロヴィスの足に当たってうめき声が聞こえる。とても眠くて、寝てはいけないことがわかっているのに、ぼんやりした頭はうまく動いてくれやしない。

「ッ、は、反抗的な犬だ。最初は許してあげよう、ねぇ」

 だけどお仕置きはしようね、と、ぎらついた目をした男がシャルロットの頬を張った。

「う、あ」