「はじめまして、皆さま。本日はわたしの誕生日をお祝いくださりありがとうございます」

 どきどきする心臓を抑えるように、胸にそっと手をやる。
 頬が熱くて、緊張しているんだと自分でもわかった。続く言葉はなんだったかしらと思い出そうとしていると、シャルロットの肩をぽんと叩く優しい振動を感じて、シャルロットは思わず目線を自分の隣に向けてしまった。

「大丈夫」
「シャルの思ったことを言えばいいの」

 ひそひそ声で微笑んだ姉──アレクシア。それに続けるように、アレクシアの片割れであるクリスティーネがシャルロットの背に手を添えて励ましてくれた。
 後ろには、きっと兄も両親もいるのだろう。シャルロットはほっと息を吐いた。
 何を言うべきか、決めてきたのに、もう忘れてしまった。

 けれど、思ったことを言えばいいのなら簡単で、シャルロットは息を一度吐いて、吸い込んだ。

「皆さまに祝っていただけて、わたし、とてもうれしい……です!今日は、皆さまにもうれしく思っていただけるようにお母さまやお姉さまたちとお料理や音楽を考えました。あっ、お庭はお姉さまたちです!」