それでもどうにもならない現実に、シャルロットの目に熱いものがこみ上げる。

 けれどその時──声が聞こえた。かすれたような、小さな小さな声が。
 しゃるろっと、さま。マルティナの唇が動くのが視界の端にうつる。

 ──生きて、あきらめないで──おねがい──。

「ああ、そうだ」

 クロヴィスが、思いついたように、「ひと」に命令した。

「片づけておけよ、おもちゃは」

 シャルロットが最後に見たものは、振り上げられた二人の男の手。そうして、その足元で倒れ伏し、それでもなおシャルロットを救おうと手を伸ばす、自身の友の姿だった。

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