「それは……あなたの決めることではないわ」

 弾かれたように顔を上げたマルティナを、シャルロットの目が覗き込む。そういえば、今日、シャルロットは一度もマルティナから視線をそらしていない。

「許すのも、許さないのも、わたしが決めることだわ。……マルティナ・ティーゼ。それは、あなたが、高慢よ」

 一言ずつ、噛みしめるように言葉を紡ぐシャルロットは、あの日マルティナが言った言葉をなぞっているようだった。

「それが、今、この場で、何をしていたのか言わない理由なら、わたしは、あなたを、嫌いだわ」

 嫌い。
 そう言われて、ほっとするはずだった。
 けれど、突き刺さる痛みはその真逆で、マルティナは、自分の胸までしかないシャルロットの小さな体にすがりつきそうになるのを必死で耐えた。
 シャルロットは続ける。