泣き喚いてもどうにもならないから、マルティナはせめて遠くでシャルロットを守る一部になりたかった。
 謝ろうと這いつくばらんとする自分を、精神力で押さえ込んだ。

「あなたの、ためですわ。シャルロット・シャロ・ヒュントヘン」

 ようやく絞り出した言葉はかすれていた。
 これで引いてはくれやしまいか。

「──あなたは、いつもそうね、マルティナ・ティーゼ」

 けれど、シャルロットは、マルティナの考え付く限りで最悪の返答をしてきた。

「あの時、わたしを睨んだあなたはどこへ言ったの?わたしにはっきり嫌いと言った、あなたのことが、わたしは嫌いではなかった……あなたのしたことだって、今では」
「言わないで!」

 悲鳴のような声だった。
 マルティナは、それが自分から発せられたことに、一瞬、気付かなかった。
 背後で気配がする。アルブレヒトが自分を抑え込もうとしているのだろうか。それなら早くしてほしい。