少女は──ヒュントヘン公爵家の子犬姫──シャルロット・シャロ・ヒュントヘンは、この場にいる誰よりも──いいや、誰もが人生のうちで見た中で最も美しい少女だと、誰もが理解した。
 釣り合うものなど誰もない。この姫君は、そのくらいにずば抜けて愛らしい容姿をしていたのだ。

 誰からともなく、感嘆のため息がしいんとした庭園に広がった。ついで、子犬姫への祝いの言葉があちこちから発せられた。

 ただ──、そう、ただ。
 先ほどの静けさから一転してざわめきを取り戻した会場で、たった一人だけ、眉をひそめ、悔し気に奥歯をかみしめている小さな令嬢がいたことには、だれも気付かなかった。

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