──お兄さまをとらないで、先輩。
 ──情けないわね、先輩。
 ──そんなんじゃあ、子犬姫の生まれ変わりに会えないわよ。
 ──ねえ、建国王の生き写しの先輩。

 アルブレヒトだって、怪力の持ち主だが、さすがに二人相手はきつかった。ヴィルヘルムは妹相手はいやだと参戦しなかったし。

建国王は怪力の持ち主で、その力は末裔に受け継がれる。
 本当かどうか知らないが、その怪力もあって、投げやりかつ高慢になっていたアルブレヒトは、双子にのされたとき、はっと我に返ったのだ。

 それがあって、今、シャルロットに好かれるような男になれたのだから感謝はしているが……正直、複雑である。

「お姉さまたちはね、シャルロットが産まれる前の少し、王太子殿下の通う学園の後輩だったの」
「まあ」
「あの頃の王太子殿下、大変に若くていらして」
「まあ!」