無言でソファを指し示し、クリスティーネが不機嫌そうに顔を背ける。
 ぱんぱん、と手を鳴らして侍女を呼ぶアレクシアが、「かわいいシャルロット、お姉さまのお膝にいらっしゃい」とシャルロットに微笑んだ。

「アレクシアお姉さま、わたし、お膝に乗るような子供ではないのよ」
「ひさびさなんだもの、ねえ、お姉さまへのプレゼントだと思って」
「アレクシア、君は相変わらず陰険だな?」
「あら、情緒不安定なアルブレヒト先輩とは違うんですの。ねえ、ティアナ?」

 呼ばれたクリスティーネはにっこりアレクシアに笑いかける。

「そうねアリア、アルブレヒト先輩は本当に……学園時代からシャロシャロシャロシャロ!かわいそうだからシャルロットをあげましたけど、シャルロットが言えばいつでも連れ」
「アルブレヒトさま、そんなにわたしのことを?」
「そうだよ、シャロ」
「……帰りはしないけれど」

 シャルロットにとろけるような微笑みを浮かべるアルブレヒトは、いつになく輝いて見える。
 ──すごい、これが両想いの力なのね。
 などとシャルロットが思っている間に、アルブレヒトはシャルロットに見えない角度で、勝ち誇った笑みを浮かべた。

 これはシャルロットが平均的な体のサイズよりずっと小さいからできることだが、すらりと背の高い双子にはもちろんばっちり見えていた。

「クリスティーネ・ティアナ・ヒュントヘン。アレクシア・アリア・ヒュントヘン。何か?」