「どうしたのシャルロット!」
「泣いていたのねシャルロット!」

 あれから少しして、アルブレヒトはシャルロットを横抱きにしたまま、姉たちの待つ部屋に向かった。
 扉を開け──なぜかドアノブがおかしな形にひしゃげた──双子の姉の待つ部屋に入る。
 赤い目をしたシャルロットを抱いたアルブレヒトを目に留めるや否や、姉たちはよく似た顔で眉を顰め、すぐにシャルロットに向き直った。

「お姉さまたち、わたしはどうもしない」
「──シャロと、恋人になった」

 ──わ、最後の一音を口にする前に、アルブレヒトがきっぱりと言った。
 一瞬呆けた様子の姉たちが、すぐさまきっ、とアルブレヒトをにらむ。

「シャルロットを想ってくれるのはうれしいですわ。アルブレヒト王太子殿下」
「それでももっとロマンティックな報告を期待していましたの。アルブレヒト王太子殿下」
「君たちは本当に僕のことが嫌いだね……不敬だとは思わな……いけれど」

 途中で軌道修正したような言葉でアルブレヒトは苦笑いする。が、その両腕にはシャルロットがしっかりと抱かれたままだ。