「わたし、わたしも……アルブレヒト・アインヴォルフさま──あなたに──恋を、しています」

 きっと最後の恋だった。
 命を懸けて、最初で最後の恋をしていた。
 死んで、産まれて、生きて──ここまできてようやくシャルロットは、シャロはわかった。
 犬の言葉では表せなかった想いが、ようやく形を作って、シャルロットの胸に部屋を得た。

 シャロは、種族も歳も、生きる世界も何もかも違うアルブレヒトを守った──それは「愛犬」としての当然の献身で──けれど、本当のところは、前提から違ったのだ。
 守りたいから守ったのではない。

 生きていてほしかったから飛び出していたのだ。
 背中から腹に突き出た刃、それを見てなお、アルブレヒトの笑顔を想っていた。
 涙を雨と否定して、最後の最後まで、彼の笑顔を見たくて。

 あれは、けして高尚な感情からではなかった。
 シャルロットの中で、小さな犬が叫んでいる。
 戻ってきたかった、この腕の中に。だって、シャロは。