でも、おかしいのだ。シャルロットに向けられるべきではない声がする──熱のこもった、期待をはらんだ声──アルブレヒトが、まるでシャルロットの恋心をうれしく思っているような、そんな声がする。

 こくんと、首だけで答えたシャルロットの頭に、熱いものが触れる。

「シャロ」

 感極まったような声──それが、よく聞いて。とシャルロットの鼓膜を震わせる。
 たくましい腕が、震えるシャルロットを強く強く、抱きしめる。
 そうして──アルブレヒトは言った。

「僕も、恋をしている──シャルロット・シャロ・ヒュントヘン。君に、君のすべてに、恋をしている」

 ──僕も、恋をしている。

 心臓が焼けるみたいだった。
 緊張の中、聞いた言葉に、シャルロットの胸が貫かれそうで。
 続きを聞きたくなくて。
 ……アルブレヒトの恋した相手を知りたくなくて。
 シャルロットは、ぐっと歯を食いしばるべく、力を入れた、けれど。

 ──シャルロット・シャロ・ヒュントヘン。
 ──君に。
 ──君のすべてに、恋をしている。