目を細めて答え、あ、と思った。これは少しそっけなかった。
 ふわふわのスクランブルエッグを口に含んでいたシャルロットが、一瞬不思議そうに首を傾げる。

「シャロは苺が好きだろう?」
「はい!昔は刻んだものしか食べられなかったけれど……でも、今は大きくてつやつやの苺を食べるのが大好きです。いくらでも食べられちゃいそう」

 取り繕ったアルブレヒトの言葉に、シャルロットは卵を飲み込んでから言った。
 苺のことを思い出しているのだろうか、うっとりと目が細まったシャルロットに、それじゃあ、とアルブレヒトはパリパリに焼いたヴルストをナイフで切った。

「馬車いっぱいに、苺を用意しようか。春だから、きっとどの地方でも苺の収穫をしている」
「ふふ、まるで苺パーティーです。アルブレヒトさまもいっしょに食べてくれますか?」
「どうして?シャロの食べる分が減ってしまうよ」
「アルブレヒトさまと一緒に食べる苺が、一番おいしいですもの」

 何でもないように言って、シャルロットはナプキンで口をおさえた。
 それが、アルブレヒトをどれほど舞い上がらせる言葉なのか、彼女はわかっているのだろうか。
 デザートにはやはり、苺が出てきた。つややかで真っ赤で、大ぶりな苺を嬉しそうに口にするシャルロットを見つめる。

「おいしい……!」

 一粒丸ごとを口にする喜びに震えるシャルロットの様子に、アルブレヒトはなんとなく、いつもは切る自身の分の苺を、切らずに口に放り込んでみる。

「……ほんとうだね」