「まあ、あのやろ……えへん、それで?」
「お姉さまたち、風邪をひいたの?」
「いいえ、なんでもないのよシャルロット」
「そうよシャルロット、けして私たちからかわいいシャルロットを奪ったあんちくしょうをどうにかしてやりたいなんて、ちびっとも思っていませんからね」

 姉たちが食い気味に断言したので、シャルロットはそうなのね、と納得した。
 純粋培養どころか不純物の一切入らぬよう育てられているシャルロットを見て、逆に姉たちは少し心配になった。

 さておき、けれど、それで少しだけ落ち着いたシャルロットは、やはり熱い顔を両手で押さえ、震えるような歓喜を思い出しながら口を開いた。

「離れちゃだめって、言われたの……!」

 きゃあ、と恥ずかしくてかぶりを振ったシャルロットを、姉たちは少しどころではなく心配に思った。
 かわいいかわいい妹は、憎いあんちくしょう──王太子アルブレヒトに毒されているような気がする。

「そ、それであなたはどう思ったのシャルロット」
「クリスティーネお姉さま」
「そう、それが一番大事よシャルロット」
「アレクシアお姉さま」