アルブレヒトは、この頃夜にシャルロットの元へ訪うだけでなく、昼間も暇を見つけてはシャルロットに会いに来るようになった。
 シャルロットは幼い子供ではない。もう不安になって震える日もすっかりなくなって、抱きしめられなくても寝られるようになった。

 それをアルブレヒトに言うと、アルブレヒトはいつだって、暗い色をした目を異様なほどに輝かせて、こう返すのだ。

「シャロがかわいくてたまらないから……抱きしめさせてほしい」

 と。シャルロットはその顔をされると本当にダメになってしまって、ただもうはいと言うしかできなくなるのだった。
 それを諌めるのは毎回シャルロットに浸水する侍女たちで、口を揃えて甘やかしてはなりません!と叱った。

「いくら王妃殿下がお許しになっても、このアンナはアルブレヒト様の暴挙を許しませんよ!そりゃあ、おひいさまがアルブレヒトにご寵愛されているというのは周知の事実ですが!せめて結婚式をあげてからになさってください!」

 それでも離れようとしないアルブレヒトは、ムッとした様子で、手は出していない、それに仕事は終わらせてきたからと言って、本当に終わらせた仕事をつらつらと述べていく。

 なんだかそれが子供っぽくて、シャルロットはいつもアルブレヒトの頭を撫でたい気持ちを抑えるのが大変なくらいだった。
 でも、手を出すとはどういうことだろう。今度アガーテとクロエに聞いてみようか。
 そう思ったのが、昨日のこと。

「シャルロットに会いたくて来ちゃったわ」
「権力ってこう使うのよね」