──あなたの隣に、いられる。

 アルブレヒトの言葉を咀嚼するたび、シャルロットの華奢な腕を、足を、胴を、頭を、胸を──心臓を、震えが走った。
 この日この時この瞬間、シャルロットの指の先まですべてが、たった1つの感情に支配された。
 ああ──ああ──!
 今、シャルロットの喉がうまく動けば、悲鳴をあげていたかもしれない。
 ──シャルロットの心は、歓喜に震えていた。

 シャルロットは、血の一滴までアルブレヒトのものだ。魂まですべて。だれでもない、シャルロットは今、そう決めた。
 アルブレヒトは、シャルロットに、アルブレヒトのものになる権利をくれたのだ。
 だから、その権利を大事にすくい上げて、胸の中に閉じ込めた。
 この権利は、シャルロットだけのものだ。
 誰にもとられないように、守らねばと思った。

 アルブレヒトの腕の中で、いまだ高鳴る心臓の鼓動に酔いしれる。
 アルブレヒトの心臓の音も速かった。それが溶け合うように同調して、とくん、とくんとシャルロットの血液を流していく。

 大好きなアルブレヒトの匂いが全身を覆って、世界で一番安心できる場所にいて。だからか、シャルロットは、うっかり眠くなってしまった。
 安心すると眠ってしまうのは、シャロのときからずっと持っている癖なのかもしれない。