シャルロットの言葉に、アルブレヒトはどう思ったのだろうか。
 驚いたように、息をのむ音。少しの間の沈黙、そうしてふいに、アルブレヒトが、シャルロットの手を両手で包んだ。
 アルブレヒトの顔が近くなる。呼吸のにおいがして、シャルロットはぴくりと震えた。

「アルブレヒト、さ、」

 アルブレヒトの右手が、シャルロットのおとがいを撫でる。
 それに肩を揺らしたシャルロットの言葉を飲み込むように、唇に触れた熱いもの。

 ──初めての口づけは、むせかえるような花のにおいに包まれて。

 アルブレヒトの赤い顔。潤んでなおぎらぎらと飢えたように輝く青い目──食べられてしまいそうな、少しの恐怖。
 けれどそのどれもが、シャルロットの中の何かを満たしていったことに、シャルロットこそが気づいていた。

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