梨衣子と同じ目がぱっちりした顔立ちとはいえ、私はメイクが上手ではないので彼女より素朴に見える。

 私が着ているダスティピンクのパーティードレスはセールで安く買ったものだし、肩につくくらいの髪はサイドを編み込みにしてみたが、不器用さがわかる拙い出来だ。

 これが日本だと必要以上に周りの目を気にして勝手に落ち込んでしまったりもするが、ここではそんな細かい部分は誰も気にしないだろうなと思える。そもそも人種が違うのだからと、いい意味で開き直れるのかもしれない。

 こうやって肌や目の色が違ういろんな人たちの中にいると、自分は狭い世界で生きてきたんだなと感じる。「連れ出してくれてありがとね」と私も感謝を告げると、彼女はほっとしたように口元を緩めた。

 ただ、やっぱり旅にトラブルはつきものだ。初海外となればなおさら。

「まあでも、ここに来るまでにちょっとしたトラブルがあったんだけど……」
「えっ!?」

 ギョッとする梨衣子に、バス停を降り間違えたことと、転びそうになって日本人男性に助けられたことを話した。

 すると、いつもに増して綺麗な彼女の顔がみるみる輝き、興奮気味に腕を掴まれる。