身長は百六十七センチくらいで身体の線が細く、男性にしては小柄だけれど、とても綺麗な顔立ちで思わず目を見張った。声も顔も中性的で、性別がはっきりわからない。

「私もこれから行くので案内しますよ。ついてきてください」
「あら、本当? 助かるわ~。ありがとう」

 副操縦士さんは当たり前のようにご婦人の荷物を持ち、歩き出す寸前にクールな笑みを浮かべて私に会釈をした。

 私も頭を下げてふたりを見送る。パイロットってそれだけでカッコいいけれど、今の人といい誠一さんといい、容姿そのものが整っていると魅力が半端ないな。

 ぽうっとして後ろ姿を眺めていると、電話を終えた郁代さんが私の横にぴたっとくっついて声をあげる。

「ねえ、今の子! 噂の美形コーパイじゃない!?」
「え、噂なんですか?」
「日本アビエーションの今月の社内報に載ってたらしいよ。新米スタッフを紹介するコーナーで。野口さんの旦那さんの友達の知り合いからの情報」
「すごい情報網」

 清掃員のネットワークの広さはさすがだが、驚かされるのはそれだけじゃなかった。

「二十六歳で副操縦士になったばっかりらしいけど、まあ注目されるよね。なんたって女性パイロットだから」
「女性!?」