《パトカー? 結構近くで鳴ってないか?》
「ですね。……あ、近くの宿所で停まりました。なんかトラブルがあったみたいです」
くるくる回転する赤いランプが見えたと思ったら、居酒屋の斜め向かいにある簡易宿所の手前に停車した。一気に物々しい雰囲気に変わり、近所の住人も何事かと外へ出てくる。
数人の警察官が宿所の中へ入ってしばらくすると、なにやら揉めている声が聞こえ、ひとりの強面の男性が警察官に連れられていく。詳しくはわからないが、おそらくあの人がなにか事件を起こして逃げていたとか、そんなところだろう。
「強面の 男の人が連行されていきました。怖……」
パトカーに乗せられる一部始終を目撃して思わず呟くと、電話の向こうから深いため息が聞こえてきた。いけない、また心配させてしまっただろうか。
「私は家にいるので大丈夫ですよ! こんなの初めてですし」
《ダメだ。やっぱり君をひとりにしておきたくない》
慌てて取り繕ったものの、羽澄さんの口調が若干厳しさを増したので口をつぐむ。
《諦めて、早く俺の妻になれ》
切実そうで、懇願しているようにも感じる声に、胸がきゅうっと締めつけられた。
「ですね。……あ、近くの宿所で停まりました。なんかトラブルがあったみたいです」
くるくる回転する赤いランプが見えたと思ったら、居酒屋の斜め向かいにある簡易宿所の手前に停車した。一気に物々しい雰囲気に変わり、近所の住人も何事かと外へ出てくる。
数人の警察官が宿所の中へ入ってしばらくすると、なにやら揉めている声が聞こえ、ひとりの強面の男性が警察官に連れられていく。詳しくはわからないが、おそらくあの人がなにか事件を起こして逃げていたとか、そんなところだろう。
「強面の 男の人が連行されていきました。怖……」
パトカーに乗せられる一部始終を目撃して思わず呟くと、電話の向こうから深いため息が聞こえてきた。いけない、また心配させてしまっただろうか。
「私は家にいるので大丈夫ですよ! こんなの初めてですし」
《ダメだ。やっぱり君をひとりにしておきたくない》
慌てて取り繕ったものの、羽澄さんの口調が若干厳しさを増したので口をつぐむ。
《諦めて、早く俺の妻になれ》
切実そうで、懇願しているようにも感じる声に、胸がきゅうっと締めつけられた。