予想外すぎて、私は「えっ!?」とすっとんきょうな声をあげてされるがまま。彼は靴を履かせると、こちらを見上げて微笑む。

「シンデレラかと思いました。怪我はなさそうでよかった」

 魅惑的な笑みと茶化すようなひと言で、ぶわっと顔が熱くなった。王子様さながらの男性にこんなことをされて、いったいどうリアクションすれば……!?

「は、はい、おかげ様で……! ありがとうございました!」

 色気もセンスもない言葉を返し、がばっと勢いよく頭を下げると、彼の顔もあまり見ないまま走り出した。ガラスの靴ではなく、ただのパンプスで。

 びっくりした……まさかあんなに素敵な男性に助けられるなんて。さっきまで間に合うかどうかでドキドキしていたのに、今はまた別の意味で心臓が騒がしい。

 想定外の出来事に動揺しまくったけれど、ひとまず着飾った参列者が集うガーデンにたどり着き、ほっと胸を撫で下ろした。挙式にはアテンダーがついていて、準備はすべてお任せにできるとのことだったので、皆と一緒にお披露目を待つ。

  ほどなくして、緑の絨毯が敷かれ花に彩られたローズガーデンに新郎新婦が現れ、挙式が始まった。今しがたのハプニングは一旦忘れ、素敵な景色に負けないほど綺麗な花嫁を感動しながら見つめる。