心に芽吹いていた、また会いたいという気持ちが、日を浴びたように一気に大きく伸びる感覚を覚える。しかし現実はそんなにうまくいかないとわかりきっているので、なんとなくもどかしさを抱いて窓の向こうに目をやった。

 それから約十時間。順調に飛行を続けて、ようやく日本の海岸線が見えてきた。こちらの天気はいまいちで、雨は降っていないが厚い雲に覆われている。

 先ほど、まもなく着陸態勢に入ることと、羽田空港周辺で強風が吹いているため大きく揺れるかもしれないとのアナウンスがあった。確かにすでに機体は風を受けてガタガタと鳴っているし、時々左右に揺られて安定していないのはわかる。

 これで本当に着陸できるのかなとやや心配しつつ、すぐそこまで接近する滑走路を眺めていた時、機体が一瞬左にぐらっと傾いた。

 なんとも言えない怖さを感じて心臓がぎゅっと縮む感覚を覚えた瞬間、エンジン音が大きくなって加速し、窓から見える羽根が滑走路から離れていく。機体は再び上昇し、他の乗客もざわめいた。

 それからすぐ、CAさんのアナウンスで着陸をやり直す旨が伝えられる。飛行機に乗ったのは過去数回しかないけれど、きっとこうなることは多くないはず。