《君の優しい心に惚れ込んでいるのは、今も変わらない。誰かのために我慢して、苦しくても笑って、自分を犠牲にするのは愚かなのかもしれない。でも俺は、そんな君を誰より美しいと思う。足りないものは補ってやりたいし、誰よりも愛して、幸せにしてやりたい》

 私をまるごと包み込んでくれるような言葉に、絡まっていた心が解されていく。

《君の笑顔も、話し方や仕草も全部可愛くて、それから──》
「ちょちょ、ちょっと待って!」

 放っておいたら止まらなそうで、慌てて玄関へ向かう。こんな告白を住人たちに聞かれたら、恥ずかしすぎて家から出られなくなりそうだ。

 思いきってドアを開けると、以前と変わらない麗しくとろけるような微笑みがそこにある。

「とにかく俺は、君のすべてを愛してる」

 機械越しじゃなく直接甘い声で続きを聞いた途端、ぶわっと一気に涙が込み上げて視界がぼやけた。

 一歩近づいた彼が腕を引き寄せ、しっかりと抱きしめられる。すっぽり包まれた温かな腕の中で、パタンとドアが閉まる音が聞こえた。